マニュアル

Fog Panther を最大限に活用するために必要なことを、すべてここにまとめました。

キーボード ショートカット一覧

検索に一致するセクションがありません。別のキーワードをお試しください。

はじめに

インストール

Fog Panther は Linux で動作します。環境に合ったインストール方法をお選びください。ネイティブ パッケージは ダウンロード ページから入手できます。ユニバーサル ランタイムを使う方法もあります。

Flatpakflatpak install flathub com.fogpanther.FogPanther
Snapsnap install fogpanther
Fedora / RHELfogpanther.com/downloads から .rpm をインストール
Debian / Ubuntufogpanther.com/downloads から .deb をインストール
Archfogpanther.com/downloads から .pkg.tar.zst をインストール

ターミナルを使う場合は、次のコマンド 1 つでディストリビューションを判別し、適切なパッケージをダウンロードして インストールします。

curl -fsSL https://fogpanther.com/install.sh | bash

この方法をおすすめします。ネイティブ パッケージがインストールされるため、GNOME Files で .fog や .psd ファイルを選んで Space を押すとプレビューが表示されます。 Flatpak 版と Snap 版でもファイルを通常どおり開いて編集できますが、ファイル マネージャーでのプレビューは 表示されません。

インストール後は、アプリケーション メニューから、またはターミナルで fogpanther と入力して Fog Panther を起動します。初回起動時には、短いエンド ユーザー ライセンス契約が表示されます。Fog Panther は 期間無制限で無料で使えます。すべてのツールが動作し、アカウントも不要で、作業内容は Fog Panther 独自の .fog 形式で保存できます。ライセンスを購入すると、その他すべての形式での保存に加えて、 書き出し、別名で書き出し、バッチ処理、印刷が利用できるようになります。ライセンスを購入したら、 ヘルプ > ライセンスを入力 からキーを入力してください。

初回起動

スプラッシュ画面のあと、Fog Panther はドキュメントが読み込まれていない空のメイン ウィンドウで開きます。 ここから次の操作ができます。

  • ファイル > 開く (Ctrl+O) で既存の画像や .fog プロジェクトを開く
  • ファイル > 新規 (Ctrl+N) で空白のドキュメントを作成する
  • ファイル > 最近使ったファイルを開く で以前に作業したファイルに戻る

画像をウィンドウに直接ドラッグすることもできます。カメラのメモリー カードから RAW や JPEG をそのままドロップすると、 新しいタブで開きます。ライセンスを入力するまでは、メニュー バーに [未登録] と表示されます。 また、.fog 以外の形式で保存しようとすると、ライセンスの購入または入力、もしくは代わりに .fog として保存するかを選ぶ画面が表示されます。

新規ドキュメントの作成

Ctrl+N を押すと新規ドキュメント ダイアログが開きます。ここでカンバスのサイズ、解像度、背景色を設定します。 よく使われる用途向けのプリセットも用意されています。

  • Web — Web サイトのモックアップ、バナー広告、UI 制作向けの 1920×1080 と 1280×720。
  • SNS — 正方形の 1080×1080 とストーリー用の 1080×1920。
  • 写真プリント — 300 DPI の 4×6"、5×7"、8×10"。
  • 印刷用紙 — 300 DPI の A4、A5、US Letter。オフセット印刷やデジタル印刷にそのまま使えます。
  • アイコン サイズ — アプリやファイル タイプのアイコン向けの標準的な正方形のピクセル サイズ。
  • カスタム — 幅、高さ、解像度を自由に設定します。

プリセットを選び (またはカスタムのまま)、背景色を設定して 作成 をクリックすると、 メインの作業画面に移ります。

ファイルを開く

Ctrl+O を押すと既存の画像を開けます。Fog Panther は PSD、PNG、JPEG、TIFF、WebP、SVG、RAW、 AVIF、ORA、BMP、そして独自の .fog 形式など、主要な形式をすべて読み込めます。ファイルを アプリケーション ウィンドウに直接ドラッグ&ドロップすることもできます。複数のファイルを一度にドロップすると、 それぞれが別のタブで開きます。

.psd ファイルを直接開くと、Fog Panther はレイヤー、マスク、描画モード、文字をそのまま保持します。 チームメイトから受け取ったレイヤー付きドキュメントの続きを手がけるときに便利です。

ヘルプの利用

ヘルプ メニューには 4 つの項目があります。

  • ユーザー ガイド — fogpanther.com/guide で完全版のマニュアルを開きます。
  • ライセンスを購入 — ライセンスを購入して、すべての保存形式、書き出し、印刷を利用できるようにします。
  • ライセンスを入力 — 購入済みのライセンスをアクティベートします。
  • Fog Panther について — バージョンとライセンスの状態を表示します。

ツールやコマンドが見つからないときは、Ctrl+K を押してコマンド パレットを開き、 名前を入力してください。ツール、フィルター、メニュー操作にすぐ移動できます。

ページの先頭へ

インターフェースの概要

メイン ウィンドウは 6 つの領域に分かれています。上部のメニュー バー、そのすぐ下の ツール オプション バー、左側のツール列、中央のカンバス、 右側に積み重なったパネル、そして下部のステータス バーです。 カンバスを常に中心に据えつつ、よく使うツールやパネルにすばやくアクセスできるよう配置されています。

ツールバー

左側の縦長のツールバーには、描画と編集のためのツールがすべて並んでいます。アイコンにポインターを合わせると、 ツール名とキーボード ショートカットがツールチップで表示されます。一部のツールは同じ場所を共有しており、 アイコンの隅に小さな三角形が表示されます。クリックしたまま押し続けると、その下に隠れているツールが現れます (たとえば、長方形選択と楕円形選択は M の場所を共有しています)。

ポートレートをレタッチする写真家なら、使うツールはほんの数種類です。シミやニキビの除去には修復ブラシ (J)、広い範囲の補修にはコピー スタンプ (S)、別レイヤーでの細かな覆い焼き・焼き込みには ブラシ (B) を使います。

パネル

ウィンドウの右側には、ドッキング可能なパネルが積み重なっています。

  • レイヤー — レイヤー構成、描画モード、不透明度のコントロール。
  • ヒストリー — これまでに行ったすべての操作。任意の時点に戻れます。
  • チャンネル — 高度なマスク処理や合成に使う個々のカラー チャンネル。
  • ツール オプション — 現在選択しているツールの詳細設定。
  • タイポグラフィー — 文字レイヤー向けの高度な文字設定 (トラッキング、行送り、OpenType 機能)。
  • パス — ペン ツールで描いたベクトル パス。
  • オブジェクト フィルター — 埋め込みオブジェクトに適用される非破壊のフィルター スタック。
  • フォトグラフィー — RAW 現像のコントロール (露光量、ホワイト バランス、トーンカーブ)。

個々のパネルの表示/非表示は、最上位の パネル メニューから切り替えます。サイド パネルはサイズを 変更でき、カンバスとパネルの間にある縦の区切り線をドラッグすると幅を調整できます。画面の狭いノート PC で 作業している場合は、Tab を押すとサイド パネルが一時的に非表示になり、作業に集中できます。

カンバス

中央の領域がカンバスで、ドキュメントをリアルタイムに表示します。透明な部分の背後に見える市松模様は 表示上の目安にすぎず、書き出したファイルには含まれません。カンバス上部のタイトル バーには、ドキュメント名、 ピクセル サイズ、現在のズーム倍率、カラー モードがひと目でわかるように表示されます。

ツール オプション バー

カンバスのすぐ上には、選択中のツールに応じて内容が変わる横長のバーがあります。たとえばブラシ ツールを選ぶと、 ブラシのサイズ、硬さ、不透明度、流量、描画モードが表示されます。文字ツールに切り替えると、フォント ファミリー、 サイズ、整列、カラーが表示されます。状況に応じて変わるこのバーのおかげで、ツールを調整するためにメニューを 探し回る必要はありません。必要なコントロールはいつもすぐそこにあります。

ステータス バー

ウィンドウの最下部にあるステータス バーには、現在のズーム倍率、ピクセル単位のカーソル位置、アクティブなレイヤーの サイズが表示されます。ズームの割合をクリックすると正確な値を入力できます。ちょうど 200% や 400% で ピクセル単位の細部を確認したいときに便利です。

ページの先頭へ

ツール

Fog Panther には 20 種類以上のツールが搭載されており、4 つのグループに分類されています。どのツールも、 ツールバーのアイコンをクリックするか、キーボード ショートカットを押せば選択できます。ショートカットを覚えると 作業スピードが格段に上がります。キーを覚えてしまったプロの多くは、ツールバーにほとんど触れません。

一部のツールは同じキーを共有しており、Shift+キーで切り替えます。 Shift+B でブラシ / 鉛筆、 Shift+L でなげなわ / マグネット選択、 Shift+W で自動選択 / スマート選択、 Shift+G で塗りつぶし / グラデーション、 Shift+J でスポット修復ブラシ / 修復ブラシ / 赤目修正が切り替わります。 ツール ボタンを右クリック (または長押し) すると、そのグループに隠れている別のツールが表示されます。

選択ツール

選択ツールを使うと、画像の一部の領域を切り分けて、その範囲だけを編集できます。合成、部分的な色補正、 背景からの被写体の切り抜きに欠かせないツールです。

ツールショートカット機能
選択ツール (長方形 / 楕円形) M 長方形または楕円形の選択範囲を描きます。2 つの形はツール オプション バーで切り替えます。 ドラッグ中に Shift を押し続けると、正方形や正円に固定されます。写真の一部の切り抜き、 UI 要素の選択、ボタンやバッジ、ポートレート レタッチでの瞳の虹彩など円形の対象の切り分けに最適です。
なげなわ (自由選択) L クリックしてドラッグし、フリーハンドで選択範囲の輪郭を描きます。不規則な形の領域をすばやく選択したいときに 使います。たとえば、ごちゃごちゃした背景から人物を切り離すために、シルエットの周囲をなぞるといった場面です。 Shift+L を押すとマグネット選択に切り替わり、なぞる際にコントラストの高い エッジに吸着します。
自動選択 W 色をクリックすると、隣接する似た色合いのピクセルをすべて選択します。ツール オプションで許容値を調整すると、 判定を厳しくしたり緩くしたりできます。単色の背景の選択にぴったりで、商品撮影なら白いスタジオ背景を クリックするだけで、数秒で選択して差し替えられます。Shift+W を押すと スマート選択に切り替わり、被写体そのものを 1 回クリックするだけで被写体の境界を検出します。

ペイント ツール

デジタル イラストを一から描くときも、モノクロ写真に手作業で色を付けるときも、肌をレタッチするときも、 手に取るのはこれらのツールです。

ツールショートカット機能
ブラシ B ペイントの主力ツールです。ペンタブレットを使っていれば、筆圧感知をフルに生かしてストロークを描けます。 [ と ] でブラシのサイズを、Shift+[ と Shift+] で硬さを変更できます。 Shift を押しながら 2 点をクリックすると、その間に完全な直線を描けます。デジタル アーティストは ラフ スケッチから最終的な細部の描き込みまで、あらゆる作業にブラシを使います。ポートレート写真家は 不透明度の低いレイヤー上で覆い焼きと焼き込みに使います。白で塗ってハイライトを明るくし、黒で塗って シャドウを深めます。
鉛筆 Shift+B (切り替え) Shift+B でブラシから切り替えると、アンチエイリアスのない、エッジのくっきりしたピクセルを描けます。 ゲームのスプライトやレトロ風のアイコンを作るピクセル アーティストに最適なツールで、すべてのストロークが ぼやけることなくピクセル グリッドにぴったり描かれます。
消しゴム E ピクセルを消去して透明にします (統合されたレイヤーでは背景色になります)。レイヤー マスク上でエッジの柔らかい 消しゴムを使うと、合成した要素のエッジを下のシーンになめらかになじませることができます。
塗りつぶし G 隣接する領域を描画色またはパターンで塗りつぶします。デザインの平坦な部分をすばやく塗るのに使います。 たとえば、ポスター レイアウトの背景パネルに色を付けたり、線画にベース カラーを塗ったりする場面です。
グラデーション Shift+G (切り替え) Shift+G で塗りつぶしから切り替えると、2 色以上の間をなめらかに移り変わるグラデーションを描けます。 線形、円形、角度の各モードから選べます。デザイナーは控えめな背景のトーンから目を引くヘッダーの オーバーレイまで、さまざまな場面でグラデーションを使います。写真家はレイヤー マスク上で使い、露出を なめらかにブレンドします。たとえば、前景に影響を与えずに露出オーバーの空だけを暗くできます。
コピー スタンプ S 画像の別の部分からサンプリングしたピクセルのコピーを描画します。Alt を押しながらクリックして ソース ポイントを設定し、複製したピクセルを表示したい場所をペイントします。写真家は邪魔な要素を取り除くのに 重宝しています。風景写真に紛れ込んだ電線を消したり、公園の写真に写ったゴミを芝生で覆い隠したりできます。

変形ツール

変形ツールを使うと、レイヤーや選択範囲の位置、サイズ、形を変更できます。

ツールショートカット機能
移動 V クリックしてドラッグし、現在のレイヤー、選択範囲、ガイドを移動します。別々の写真から要素を合成するとき (たとえば商品を新しい背景に配置するとき) は、移動ツールで各パーツを思いどおりの位置に正確に配置します。 ドラッグ中に Shift を押し続けると、移動方向が水平または垂直に固定されます。
切り抜き C 切り抜く範囲を描いて Enter を押すと、カンバスがトリミングされます。ポートレートの構図を引き締めたり、 切り抜きボックスを回転させて傾いた水平線をまっすぐにしたり、大きな写真を Web サイトのヒーロー画像向けの 16:9 や Instagram 向けの 1:1 といった特定の縦横比に切り詰めたりするのに使います。
変形 Ctrl+T 自由変形モードに入り、ハンドルを使って現在のレイヤーや選択範囲の拡大縮小、回転、傾き、ワープができます。 商品のモックアップにロゴを配置するデザイナーなら、変形でロゴを拡大縮小・回転して正しい位置に合わせ、 さらにワープで表面の曲面に沿わせるでしょう。Enter で適用、Esc でキャンセルします。
ワープ — 柔軟なメッシュでピクセルを押したり引いたりして形を変えます。ワープ グリッド上のポイントをドラッグすると、 アートワークを曲面に沿って曲げたり、レンズのゆがみを補正したり、映り込みを所定の位置に微調整したりできます。 自由変形の四隅のハンドルよりはるかに自由度が高いツールです。Enter で適用、 Esc でキャンセルします。
手のひら H アクティブなツールの状態を変えずに、ドラッグしてカンバスをスクロールします。拡大して細部を作業しているときに、 画像の別の部分へ移動したい場合に便利です。Space を押しながらドラッグするか、中ボタンでドラッグすれば、 いつでもスクロールできます。

高度なツール

ツールショートカット機能
文字 T カンバスをクリックすると文字カーソルが置かれ、クリックしてドラッグすると、折り返し付きのテキスト ボックスを 作成できます。詳しくは、後述の文字とタイポグラフィーのセクションで説明します。
スポイト I カンバスの任意の場所をクリックすると、その色をサンプリングして描画色に設定します。デザイナーが頻繁に使う ツールで、クライアントのブランド写真から色を拾ってレイアウトに正確に合わせたり、空の色を拾って背景の グラデーションに使ったりできます。
ペン P ベジェ曲線を使って正確なベクトル パスを作成します。ペン ツールを使えば、商品のボトルや車のシルエットのように、 なめらかでくっきりしたエッジを持つ対象を、最もきれいな選択範囲で切り抜けます。クリックでアンカー ポイントを置き、 クリックしてドラッグするとカーブのハンドルが追加されます。パスを閉じたら、選択範囲に変換するか、 ベクトル マスクとして使います。
シェイプ U 解像度に依存しない、くっきりしたエッジのベクトルの長方形、楕円形、多角形を描きます。UI のモックアップ、 ポスターの幾何学的な要素、アイコン デザインなど、どのズーム倍率でもシャープな角を保ちたい場面に使います。
修復ブラシ J コピー スタンプに似ていますが、より賢いツールです。ソース領域からテクスチャーをサンプリングし、 修復先の色や明るさになじませるため、継ぎ目のない仕上がりになります。ポートレート写真家は肌のシミや ニキビの除去に使います。近くのきれいな肌を Alt+Click してソースを設定し、シミの上をペイントします。 修復ブラシは周囲のトーンに自動で合わせるため、明るさや肌の色が異なる部分でも自然に仕上がります。 Shift+J を押すと、レタッチ グループの残りのツールに切り替わります。スポット修復ブラシ (ソースのサンプリングなしで、1 回のクリックでシミを除去) と赤目修正 (瞳孔をクリックして フラッシュによる赤目を補正) です。
ヒント: すべてのショートカットをすぐに覚える必要はありません。まずはよく使う 5 つ、 V (移動)、B (ブラシ)、M (選択)、Ctrl+Z (取り消し)、 Ctrl+T (変形) から始め、自然に手が動くようになったら少しずつ増やしていきましょう。 ブラシ系のツールを使用中は、[ と ] でブラシのサイズを、Shift+[ / Shift+] で硬さを調整できます。
ページの先頭へ

レイヤー

レイヤーは非破壊編集の基盤です。透明なシートを何枚も重ねたものと考えてください。各シートには独自の内容を 載せることができ、何も恒久的に変更することなく、並べ替えたり、非表示にしたり、ブレンドしたりできます。 雑誌の表紙の合成でも、ポートレートのレタッチでも、ポスターのデザインでも、プロのワークフローのほとんどは レイヤーに支えられています。

レイヤーの種類

  • ラスター レイヤー — ペイントしたり、写真をペーストしたり、フィルターを適用したりする 標準的なピクセル レイヤーです。写真家が被写体を新しい背景に合成する場合、各要素はそれぞれ独立したラスター レイヤーに置かれるため、個別に位置を変えたりマスクしたりできます。
  • 文字レイヤー — 作り直すことなく、いつでも変更できる編集可能な文字です。ポスターの デザイナーは、何週間も経ってから見出しの文言を手直ししたり、フォントやカラーを変えたりしても、最初から やり直す必要はありません。
  • 調整レイヤー — 下にあるすべてのレイヤーに作用する、非破壊の色調補正 (トーンカーブ、 レベル補正、色相・彩度など) です。元のピクセルには手を加えないため、いつでも調整したり削除したりできます。 たとえば写真家は、中間調のコントラストを高めるトーンカーブと、シャドウを暖色寄りにする色相・彩度を重ね、 数日後に別の印刷ロット向けにどちらかを微調整し直す、といった使い方ができます。
  • 埋め込みオブジェクト — 何度拡大縮小、回転、ワープしても、元のフル解像度のデータを 保持する埋め込みファイルです。クライアントの高解像度ロゴを埋め込みオブジェクトとしてデザインに配置し、 名刺用に縮小したあと、バナー用に再び拡大しても、画質は劣化しません。
  • レイヤー グループ — 複雑なプロジェクトの整理に役立つ、折りたためるフォルダーです。 ホームページのモックアップを作る Web デザイナーなら、ヘッダーの要素 (ロゴ、ナビゲーション、ヒーロー画像) を 1 つのグループに、フッターの要素を別のグループにまとめることで、レイヤーが何十枚あっても構成を 把握しやすく保てます。

レイヤー マスク

レイヤー マスクは、レイヤーに付属するグレースケールのチャンネルで、レイヤーのどの部分を表示するかを制御します。 マスクの白い部分はレイヤーを表示し、黒い部分は隠し、グレーの濃淡は部分的な透明になります。

マスクを追加するには、レイヤー パネルでレイヤーを右クリックし、レイヤー マスクを追加を選びます。 次にブラシ ツール (B) を選び、描画色を黒にして、隠したい部分をペイントします。白に切り替える (X で色を入れ替え) と、再び表示されます。

実例: 同じ風景を 2 つの露出で撮影した写真を合成するとします。1 枚は空に、もう 1 枚は前景に 露出を合わせたものです。空に合わせた写真を上に置いてレイヤー マスクを追加し、柔らかい黒のブラシで地平線に沿って ペイントします。下のレイヤーの暗い前景が継ぎ目なく透けて見え、HDR 特有の不自然さのない、バランスの取れた 画像に仕上がります。

描画モード

描画モードは、レイヤーのピクセルが下のレイヤーとどのように作用し合うかを制御します。描画モードはレイヤー パネル上部のドロップダウンから選びます。よく使うモードは次のとおりです。

  • 乗算 — カラー値を掛け合わせて画像を暗くします。デザイナーは、写真に暗いテクスチャーを 重ねたり、スキャンした線画の白い紙を透明にしてインクの線だけを残したりするのに使います。
  • スクリーン — 画像を明るくします。レンズ フレアのような光の効果を加えたり、レイヤーを 複製してコピーをスクリーンに設定し、露出不足の写真を明るくしたりするのに使います。
  • オーバーレイ — 乗算とスクリーンを組み合わせてコントラストを高めます。定番のシャープ化の テクニックとして、レイヤーを複製してハイパス フィルターを適用し、その結果をオーバーレイに設定する方法が あります。エッジだけがシャープになり、平坦な部分はそのまま保たれます。
  • ソフト ライト — オーバーレイをより穏やかにしたモードです。写真家は新規レイヤーを 50% グレーで塗りつぶしてソフト ライトに設定し、白でペイントして覆い焼き (明るく)、黒でペイントして焼き込み (暗く) を行います。ポートレートの光と影を完全に非破壊で形作る方法です。

キーボード ショートカット

操作ショートカット
新規レイヤーCtrl+Shift+N
レイヤーを複製Ctrl+J
下のレイヤーと結合Ctrl+E
表示レイヤーを結合Ctrl+Shift+E
表示レイヤーを統合した新規レイヤーを作成Ctrl+Alt+Shift+E
画像を統合レイヤー > 画像を統合
レイヤーを上へ移動Ctrl+]
レイヤーを下へ移動Ctrl+[
レイヤーの不透明度を設定1…9 (10–90%)、0 (100%)
表示/非表示の切り替え目のアイコンをクリック

数字キーのショートカットでアクティブなレイヤーの不透明度を設定できます。補正前後の比較をすばやく行うのに 便利です。文字レイヤーを編集中の場合は、先に移動ツールに切り替えてください。そうしないと数字が文字として 入力されてしまいます。

ページの先頭へ

選択範囲

選択範囲を使うと、画像の一部を囲い込んで、ペイント、フィルター、色調補正がその範囲だけに作用するようにできます。 境界は動く破線で表示され、「蟻の行進 (マーチング アンツ)」とも呼ばれます。選択範囲を使いこなすことは、画像編集で 最も重要なスキルの 1 つです。前景に触れずに空だけを変えたり、1 つの対象だけ色を変えたり、EC サイトの商品ページ 向けに商品を背景から切り抜いたりできるのは、選択範囲のおかげです。

選択範囲の組み合わせ

単純な選択範囲を組み合わせて、複雑な選択範囲を作成できます。新しい選択範囲を描くときに、次の修飾キーを押し続けます。

  • Shift — 既存の選択範囲に追加します。長方形やなげなわの形を複数描くと、1 つの選択範囲に統合されます。
  • Alt — 選択範囲から減算します。穴を開けたり、エッジを削ったりするのに使います。
  • Shift+Alt — 交差します。古い選択範囲と新しい選択範囲の重なった部分だけが残ります。

実例: スタジオ背景からモデルを切り抜くとします。まず自動選択 (W) で白い背景を クリックすると、背景の大部分が一瞬で選択されます。次に Shift を押しながら、選択から漏れた部分 (たとえば腕と胴体の間) をクリックして追加します。最後に選択範囲を反転 (Ctrl+Shift+I) して、 背景ではなくモデルが選択された状態にします。モデルを新規レイヤーにコピー (Ctrl+J) すれば、 合成にすぐ使えるきれいな切り抜きの完成です。

ぼかし

選択範囲のエッジがくっきりしすぎていると、特に合成では不自然に見えることがあります。ぼかしは、指定したピクセル数に わたって選択範囲を徐々にフェードさせ、エッジを柔らかくします。選択範囲を作成したら、Shift+F6 を押して ぼかし半径を設定します。1–3 ピクセルなら控えめで自然な移り変わりに、それより大きい値では夢のような ビネット風のフェードになります。

クイック マスク モード

Q を押すとクイック マスク モードに入ります。画像に半透明の赤いオーバーレイがかかり、赤い部分が選択範囲の 外側、透明な部分が内側になります。この状態では、どのペイント ツールでも選択範囲を調整できます。 黒でペイントすると選択が解除され (赤が増え)、白でペイントすると選択されます (赤が消えます)。幾何学的な選択ツールでは 苦戦する髪の毛や動物の毛のような難しいエッジに、非常に効果的です。もう一度 Q を押すと、通常の 破線表示に戻ります。

キーボード ショートカット

操作ショートカット
すべて選択Ctrl+A
選択解除Ctrl+D
選択範囲を反転Ctrl+Shift+I
選択範囲をぼかすShift+F6
色域で選択選択範囲 > 色域指定
ページの先頭へ

フィルターと色調補正

フィルターはピクセルを処理して、さまざまな効果を生み出します。甘いピントの写真をシャープにすることから、 様式化されたアート風の仕上がりまで幅広く対応します。フィルターはフィルターメニューから利用できます。 ほとんどのフィルターにはライブ プレビューが表示されるため、確定する前に設定を追い込めます。

非破壊で作業したい場合は、埋め込みオブジェクトにフィルターを適用してください。適用したフィルターはオブジェクト フィルターとなり、いつでも再編集、並べ替え、削除ができます。

ぼかしフィルター

  • ぼかし(ガウス) — 半径で制御する、なめらかで均一なぼかしです。商品写真の背後にある邪魔な背景を ぼかしたり、複製したレイヤーをぼかして減算することで周波数分離 (テクスチャーと色を分離する肌レタッチの技法) を 行ったりするのに使います。
  • ぼかし(移動) — 動いている被写体やカメラが残す流れをシミュレートします。角度と距離を設定して、 停まっている車の写真にスピード感を加えたり、ランナーの背後の背景をぼかして動きを感じさせたりできます。
  • レンズぼかし — 自然なボケを伴う、リアルな被写界深度の効果を作り出します。深度マップ (別のチャンネルに作成したグラデーション) を与えると、手前と奥を異なる強さでぼかし、明るい単焦点レンズの浅い 被写界深度を再現します。スマートフォンで撮った商品写真を、スタジオのカメラで撮ったように見せたいときに便利です。

シャープ フィルター

  • アンシャープ マスク — 業界標準のシャープ化ツールです。名前とは裏腹に、エッジに沿って コントラストを高めることで画像をシャープにします。量 (強さ)、半径 (エッジの幅)、 閾値 (どのエッジをシャープにするか) を設定します。Web 用の画像なら、量 80–120%、 半径 0.5–1.0、閾値 0–2 を試してください。印刷では再現時に少し甘くなるため、半径を 1.5–2.0 に上げます。
  • ハイパス — エッジ以外の画像全体をニュートラル グレーにし、エッジだけにコントラストを残します。 写真のレイヤーを複製し、半径 2–5 ピクセルでハイパスを適用して、描画モードをオーバーレイに設定します。 平坦な部分のノイズを強調することなく、くっきりしたエッジが得られます。風景写真家や建築写真家に人気の技法です。

変形フィルター

  • ゆがみ — 専用のブラシでペイントしながら、ピクセルを押したり引いたりゆがませたりできる インタラクティブなツールです。ファッション系のレタッチャーは、服のラインを整えたり、ほつれた髪を直したり、 ポーズを少しだけ変えたりといった繊細な調整に使います。
  • 遠近法ワープ — 建築写真で垂直線が収束する現象 (地上から撮影すると建物が後ろに傾いて見える) を補正したり、ドラマチックな構図のために意図的に遠近感を誇張したりします。
  • レンズ補正 — 広角レンズや望遠レンズによるたる型・糸巻き型のゆがみを補正し、色収差 (コントラストの高いエッジに沿って生じる色のにじみ) を除去します。建築写真家や不動産写真家は、直線を本当に まっすぐに保つためにこのフィルターを頼りにしています。

ノイズ フィルター

  • ノイズを加える — 均等分布またはガウス分布のランダムな粒子を加えます。デジタル イラストや なめらかすぎるグラデーションに控えめなノイズを重ねると、フィルムのような有機的な質感が生まれ、無機質な印象が 和らぎます。
  • ノイズを軽減 — ディテールを保ちながらノイズを軽減します。センサー ノイズが細部をかき消して しまいがちな、高感度での夜景撮影や暗いコンサート会場での撮影には欠かせません。

アート系フィルター

  • 油彩 — 様式化の度合いや筆の毛の細かさを調整しながら、油絵の筆致をシミュレートします。 風景写真に適用すれば、キャンバス プリントにふさわしい絵画風のファイン アートに仕上がります。
  • ポスタリゼーション — 階調の数を減らし、平面的でグラフィックな印象を与えます。 グラフィック デザイナーは、シルクスクリーン印刷のポスターやポップ アート風のポートレートの出発点として ポスタリゼーションを使います。

色調補正

色調補正はレイヤーに直接適用することも、柔軟性を最大限に高めたい場合は、レイヤー パネルに置かれて下にあるすべてに 作用する調整レイヤーとして適用することもできます。

  • トーンカーブ (Ctrl+M) — 最も強力な階調補正ツールです。カーブ上のポイントを ドラッグして、ハイライトを明るくしたり、シャドウを暗くしたり、中間調のコントラストを高めたりします。メリハリを 加える S 字カーブにするには、シャドウ側の 4 分の 1 の位置を少し下げ、ハイライト側の 4 分の 1 の位置を少し 上げます。カラー グレーディングを行う写真家は、レッド、グリーン、ブルーの各チャンネルを個別に編集して画像の 雰囲気を変えられます。シャドウの青みを持ち上げ、ハイライトを暖色寄りにすれば、映画のようなティール&オレンジの ルックになります。
  • レベル補正 (Ctrl+L) — 3 本のスライダーによるシンプルな操作で、黒点、白点、 中間調のガンマを調整します。黒のスライダーを内側にドラッグすると最も暗い階調が深まり、白のスライダーを内側に ドラッグすると最も明るい階調が明るくなります。画像が階調の全範囲を使えるよう、手早くレベル補正を行うことが、 写真編集の最初のステップになることがよくあります。
  • 色相・彩度 (Ctrl+U) — 画像全体の色相をずらしたり、特定の色域だけを対象に したりします。商品写真家ならレッド系だけを切り分けてオレンジ寄りにずらし、ブランドのカラー パレットに合わせる ことができます。風景写真でグリーン系の彩度を下げて、ムードのある落ち着いた仕上がりにすることもできます。
  • 明るさ・コントラスト — 全体をすばやく調整できるわかりやすいスライダーです。トーンカーブや レベル補正ほどの精度が必要ない、手早い補正に適しています。
  • カラー バランス (Ctrl+B) — シャドウ、中間調、ハイライトごとに色を微調整します。 シャドウを寒色に保ったままハイライトに暖かみを加えると、自然で立体感のある仕上がりになります。
  • 階調の反転 (Ctrl+I) — すべての色を反対の色に反転し、ネガのような画像を作ります。 マスクの反転 (「背景を選択」するマスクを「被写体を選択」するマスクに変える) や、クリエイティブな効果として 役立ちます。
  • 彩度を下げる (Ctrl+Shift+U) — RGB カラー モードを維持したまま、画像やレイヤーを グレースケールに変換します。ポートレートをモノクロに変換する写真家はここから始めることが多く、さらにチャンネル ミキサーの調整レイヤーを追加して、各色がどのグレーの濃さに変換されるかを細かく制御します。
ページの先頭へ

文字とタイポグラフィー

T を押すと文字ツールが選択されます。カンバスの任意の場所をクリックするとその位置から入力を始められ、 クリックしてドラッグするとテキスト ボックスを作成できます。ボックス内の文字は端に達すると自動的に折り返される ため、段落、キャプション、本文に適しています。

フォントの選択

Fog Panther では、システムにインストールされているすべてのフォントを使用できます。ツール オプション バーの フォント ピッカーには、実際に入力した文字で各フォントのプレビューがリアルタイムに表示されるため、スクロールしながら 見た目で比較できます。長いフォント一覧は名前で絞り込めるほか、よく使うフォントをお気に入りに登録して一覧の先頭に 表示させることもできます。

作業内容を .fog 形式で保存すると、フォントはファイルに直接埋め込まれます。そのため、同僚とファイルを 共有したり別のマシンで開いたりしても、そのフォントがインストールされていない環境で文字が正しく表示されます。

書式オプション

  • フォント ファミリー、サイズ、ウェイト、スタイル — 書体とポイント サイズを設定し、太字、斜体、またはその組み合わせを選びます。
  • 文字間隔 (トラッキング) — すべての文字の間隔を広げたり狭めたりします。大きな見出しのトラッキングを詰めると引き締まった誌面風の印象に、大文字の小見出しのトラッキングを広げると上品で軽やかな印象になります。
  • 行の高さ (行送り) — 文字の行と行の間の縦方向の間隔を制御します。行送りをゆったり (1.5× 以上) 取ると、印刷パンフレットの本文が開放的で読みやすくなります。
  • テキストの整列 — 左揃え、中央揃え、右揃え、両端揃えから選べます。雑誌のような段組みには両端揃えが適していますが、短い行では間隔が不自然に空くことがあるので注意してください。
  • 文字カラーと境界線 — 単色またはグラデーションの塗りを設定し、ごちゃごちゃした背景の上でも読みやすいように輪郭 (境界線) を追加します。イベント ポスターのデザイナーは、どんな写真の上でも文字がはっきり読めるよう、白い見出しに暗い境界線を付けることがよくあります。
  • アンチエイリアス — 出力先に応じて、シャープ、鮮明、滑らかにから選びます。画面向けの小さな UI テキストにはシャープが最適で、印刷用の大きな見出しには滑らかにが最もきれいに仕上がります。

文字の再編集

レイヤー パネルで文字レイヤーをダブルクリックする (またはカンバス上の文字をダブルクリックする) と、再び編集モードに 入ります。文字レイヤーは完全に編集可能なまま保たれるため、いつでも文章を書き直したり、フォントを変えたり、 サイズを調整したり、色を変えたりできます。デザイナーができるだけ長く文字をライブ テキストのまま残しておくのは このためです。

文字をラスタライズせずにレイヤー スタイルを適用することもできます。ドロップ シャドウで見出しを背景から浮かび 上がらせたり、グラデーション オーバーレイで金属的な質感を出したり、光彩 (外側) でネオン サインのような効果を 加えたりできます。その間も文字は編集可能なままです。

文字にピクセル単位のフィルター (ぼかしや変形など) を適用する必要がある場合は、レイヤー > ラスタライズ で文字レイヤーをピクセルに変換します。これは元に戻せない一方向の操作であることに注意してください。ラスタライズした 後は、文字として編集することはできません。

ページの先頭へ

ファイル形式

ネイティブの .fog 形式

.fog 形式は Fog Panther 独自のファイル形式です。プロジェクトの状態全体を完全に忠実に記録し、 すべてのレイヤー、マスク、調整レイヤー、埋め込みオブジェクト、文字レイヤー、描画モード、埋め込みフォントを、 作業を終えたときの状態のまま保存します。あとで完全に編集可能な状態で再開できるよう、作業内容は必ず .fog 形式でも保存しておきましょう。

.fog ファイルはマスター ドキュメント、書き出した形式 (PNG、JPEG など) は納品用のコピーと考えてください。 たとえば写真家は、レタッチ用のレイヤーをすべて残した .fog ファイルを手元に保管し、クライアントには 統合した JPEG を、印刷会社には TIFF を書き出して渡す、といった使い分けができます。

対応形式

形式読み込み書き出し主な用途
PSD○○他の画像編集ソフトとのやり取り。レイヤー、マスク、描画モード、編集可能な文字が保持されます。
PNG○○Web グラフィック、UI 素材など、透明部分が必要なあらゆる用途。可逆圧縮です。
JPEG○○Web、メール、SNS 向けの写真。品質は 1–100 で設定でき、80–85 がサイズと品質のバランスに優れています。
WebP○○最新の Web 画像。同等の品質で JPEG よりファイル サイズが小さくなります。透明部分に対応しています。
AVIF○○優れた圧縮率を持つ次世代の Web 形式。写真の多い Web サイトに最適です。
TIFF○○印刷ワークフロー。16 ビットと 32 ビットの深度、可逆圧縮、ICC プロファイルの埋め込みに対応しています。
RAW○×デジタル一眼レフやミラーレス カメラの RAW ファイル。RAW 現像ダイアログを通して読み込みます。
ORA○○OpenRaster — 特定のベンダーに依存しない、オープンなレイヤー画像形式。
PDF○○ドキュメント。ページを読み込んで編集したり、作品を PDF として書き出したりできます。
SVG○×ベクトル グラフィック。選択した解像度でラスタライズして読み込みます。
HDR / EXR○○ハイ ダイナミック レンジ。最も広い階調範囲を扱える Radiance HDR と OpenEXR の 32 ビット浮動小数点。
GIF○○Web グラフィック。読み込み時は最初のフレームを開き、書き出し時は静止画像として保存します。

保存と書き出しの違い

保存 (Ctrl+S) はプロジェクト全体を書き込みます。初期設定では .fog 形式で、 PSD を開いた場合はそのファイルの現在の形式で保存します。別名で保存 (Ctrl+Shift+S) では、 新しい名前、保存場所、形式を選べます。作業途中のファイルには保存を使い、レイヤー、文字、ヒストリーなどを すべてそのままの状態で残しておきましょう。

書き出し (Ctrl+Alt+Shift+S) は納品用のファイルを作成するための機能です。ダイアログが開き、 形式と品質の設定を選べるほか、書き出し時に画像のサイズを変更することもできます。たとえば、フル解像度の .fog マスターには手を付けずに、幅 1200px、品質 82 の Web 用 JPEG を書き出すといった使い方ができます。

印刷デザイナーへのヒント: 入稿用に TIFF ファイルを書き出すときは、正しい ICC カラー プロファイルを 指定していることを確認し (後述のカラー マネジメントを参照)、印刷会社が対応していれば 16 ビットの深度で書き出してください。階調の範囲を最大限に保ち、なめらかなグラデーションでのトーン ジャンプを防げます。
ページの先頭へ

カラー マネジメント

カラー ピッカー

ツールバーの描画色または背景色のスウォッチをクリックすると、カラー ピッカーが開きます。色はいくつかの方法で選べます。

  • カラーホイール — ホイールをクリックして色相を選び、内側の三角形で彩度と明るさを調整します。
  • HSB スライダー — 色相、彩度、明るさを数値で指定します。
  • RGB スライダー — レッド、グリーン、ブルーの正確な値 (0–255) を指定します。
  • 16 進数入力 — #2563eb のような 16 進数コードを直接入力します。ブランドのスタイル ガイドに沿って作業する Web デザイナーには欠かせない機能です。

I を押してスポイト ツールを選択し、目的のピクセルをクリックすれば、いつでもカンバスから色をサンプリング することもできます。

描画色と背景色

ツールバーには 2 つのスウォッチが重なって表示されています。左上が描画色 (ブラシ、文字、塗りつぶしで 使用) で、右下が背景色 (統合されたレイヤーで消しゴムを使うときや、グラデーションの 2 番目の色として 使用) です。

  • X を押すと 2 つの色が瞬時に入れ替わります。マスクをペイントするときに便利です。黒でペイントして隠し、X を押して、白でペイントして表示します。
  • D を押すと、初期設定の黒の描画色と白の背景色に戻ります。

ICC プロファイルとソフト校正

Fog Panther は ICC カラー プロファイルに対応しており、デバイス間で正確な色を再現できます。ドキュメントへのプロファイルの 指定は イメージ > カラー プロファイル から行います。これにより、ソフトウェア (およびプリンターや ディスプレイ) がカラー値をどう解釈すべきかが伝わります。

印刷用の作業では、表示 > 校正カラー でソフト校正を有効にします。特定のプロファイルで印刷したときに 画像がどう見えるかを画面上でシミュレートする機能です。印刷会社からは通常、印刷機用のプロファイル (FOGRA39 や GRACoL など) が提供されます。それをソフト校正ダイアログで読み込めば、入稿前に色域外の色を見つけられ、費用のかかる 刷り直しを避けられます。

カラー モードとビット深度

ほとんどの作業は RGB で行いますが、ドキュメントのカラー モードは イメージ > モード で切り替えられます。印刷用には CMYK、モノクロ作品にはグレースケールが用意されており、 いくつかの専門的なモード (Lab、インデックス、特色印刷の色分解用のマルチチャンネル) も利用できます。使い始めの段階では これらは必要ありません。画面や Web 向けのほぼすべての作業には RGB が適しています。

ビット深度は イメージ > ビット深度 で変更します。

  • 8 ビット — チャンネルあたり 256 階調。Web や画面向けのほとんどの作業に適しています。
  • 16 ビット — チャンネルあたり 65,536 階調。高品質な写真編集や印刷に最適です。16 ビットで 作業すると、なめらかなグラデーション (青空など) でのトーン ジャンプを防げるほか、トーンカーブやレベル補正で階調を 大きく調整するときの余裕も広がります。
  • 32 ビット浮動小数点 — OpenEXR や Radiance HDR ファイルなどのハイ ダイナミック レンジ (HDR) 画像向け。
ページの先頭へ

ヒストリーと取り消し

取り消し / やり直し

Ctrl+Z を押すと直前の操作を取り消し、Ctrl+Shift+Z を押すとやり直します。Fog Panther は、 使用可能なメモリーが許す限り無制限に取り消しができます。ブラシで 100 回ストロークを描いたあとで方向性そのものが 間違っていたと気づいても、そのすべてを 1 つずつ取り消せます。

ヒストリー パネル

ヒストリー パネルには、ドキュメントを開いた時点から行ったすべての編集が、視覚的なタイムラインとして表示されます。 各項目には操作名 (「ブラシ ストローク」「ぼかし(ガウス)」「レイヤーを移動」など) とサムネールが表示されます。 いずれかの項目をクリックするとその状態に直接戻り、それ以降の項目はグレー表示になります。その時点から新しい編集を 行うと、グレー表示の項目は置き換えられます。

実例: ポートレートのレタッチで、この 20 分間に肌をなめらかにし、覆い焼きと焼き込みを行い、色を 調整してきたとします。そこへクライアントから電話があり、カラー グレーディングをする前の仕上がりのほうが好みだと 言われました。1 ステップずつ取り消す代わりに、ヒストリー パネルを開いて色の作業を始める直前の状態までスクロールし、 クリックします。ワン クリックで完了です。

スナップショット

スナップショットを使うと、特定の時点のドキュメントの状態全体をブックマークできます。ヒストリー パネル下部の カメラ アイコンをクリックすると、スナップショットが作成されます。スナップショットはヒストリー パネルの上部に表示され、 セッションが続く間は保持されます。

作業内容を失わずに複数のクリエイティブな方向性を試したいときに威力を発揮します。たとえば、ポスターの 2 種類の カラー パレットを検討しているデザイナーなら、バージョン A のスナップショットを作成してからバージョン B を試し、 スナップショットを切り替えて 2 つを比較できます。ドキュメントを .fog 形式で保存すると、取り消しの ヒストリー全体がファイルとともに保存されます。今日閉じて来週開き直しても、すべてのステップがそのまま残っています。

ページの先頭へ

表示とナビゲーション

効率よく移動できれば、作業の流れが途切れません。5,000 万画素の風景写真からセンサーのゴミを探すときも、アイコンの ピクセルを 1 つずつ確認するときも、これらの操作でカンバス内をすばやく移動できます。

ズーム

操作ショートカット使いどころ
拡大= または上にスクロール細部を確認します。シャープさのチェックや、レタッチのピクセル単位での確認に。
縮小- または下にスクロール全体像を見ます。構図や階調のバランスを総合的に評価するときに。
ウィンドウに合わせるCtrl+0表示をリセットして画像全体を一度に表示します。拡大して作業したあと、構図全体を見直すときに使います。
実寸表示 (100%)Ctrl+Alt+0実際のピクセル解像度で表示します。シャープさ、ノイズ、細部を判断するのに最適なズーム倍率です。
全画面Fカンバスを最大化して、作業に集中したり、クライアントにすっきりとプレビューを見せたりします。
サイド パネルを隠すTabパネルを一時的に隠して、ウィンドウ全体をカンバスに使います。

ズームのキーは単独で押すだけで、Ctrl は不要です。マウス ホイールではカーソル位置を中心にズームします。 カンバスをスクロールするための別モードはありません。

スクロール (パン)

Space を押しながらドラッグするとカンバス内をスクロールできます。修飾キーを使いたくない場合は 中ボタンでドラッグしても同じです。どちらもアクティブなツールに関係なく使えるため、表示位置を 変えるために現在のツールから切り替える必要はありません。大きなドキュメントで今どこを見ているかを俯瞰したいときは、 ナビゲーター パネルを開くと、ドラッグできる表示範囲の枠付きのサムネールが表示されます。

定規とガイド

定規の表示/非表示は Ctrl+R で切り替えます。定規はカンバスの上端と左端に表示され、選択した単位 (ピクセル、インチ、センチメートル) で寸法を示します。

ガイドを作成するには、定規の内側をクリックしてカンバス上にドラッグします。細い色付きの線が表示されます。ガイドは 印刷されない参照線で、要素を正確に揃えるのに役立ちます。雑誌の見開きをレイアウトする印刷デザイナーなら、定規から ガイドをドラッグして段の境界、余白、のどの位置を示すでしょう。作業が終わったら 表示 > ガイドをクリア ですべて削除できます。

スナップ

スナップは 表示 > スナップ または Ctrl+Shift+; で有効にします。有効にすると、レイヤー、 選択範囲、ガイドがグリッド線、カンバスの端、他のガイド、近くのレイヤーの境界に吸着します。これにより正確な位置合わせが 簡単になります。UI デザイナーは要素をピクセル グリッドに吸着させ、写真家は三分割法の位置に置いたガイドに切り抜きの 境界を吸着させることができます。

グリッド

グリッドは 表示 > グリッドを表示 または Ctrl+' で表示します。グリッドはカンバス上に 規則的な線のパターンを重ねて、位置の目安を示します。グリッドのサイズ、分割数、カラーはすべて 環境設定で変更できます。ピクセル アーティストはグリッドを 1px 間隔に設定し、拡大して タイルごとに作業することが多く、UI デザイナーはデザイン システムの余白の単位に合わせて 8px や 16px に設定する ことがあります。

ページの先頭へ

環境設定

環境設定は Ctrl+, または ファイル > 環境設定 から開きます。ダイアログには 5 つのタブが あります。使い始めるときにここを触る必要はありません。自分のワークフローで使いにくいと感じる点が見えてきたら、 戻ってきてください。

一般

  • 新規ドキュメントの既定値 — 新規ドキュメント ダイアログの幅、高さ、解像度、背景を設定し、新しいカンバスをいつも好みの状態で始められるようにします。
  • テーマ — ライト、ダーク、システムから選びます。明るい UI が色や露出の判断に与える影響を抑えられるため、多くの写真家やレタッチャーはダーク テーマを好みます。
  • 最近使ったファイルの件数 — ファイル > 最近使ったファイルを開く に表示する項目の数です。
  • 言語 — インターフェースの言語を設定します。

パフォーマンス

  • ヒストリーのサイズ — 保持する取り消しの状態の数です。非常に大きなファイル (中判カメラの 16 ビット TIFF など) を扱う場合は、ここでメモリーを多めに割り当てると、取り消しできる回数に余裕が生まれます。
  • タイル キャッシュのサイズ — キャッシュするカンバス タイルに割り当てるメモリー量です。値を増やすと、大きなドキュメントのスクロールやズームが快適になります。
  • GPU の選択 — Fog Panther がカンバスの描画とフィルターの高速化に使うグラフィック デバイスを選びます。GPU を 2 基搭載したノート PC では、処理能力が必要なときにディスクリート GPU を強制的に使わせることができます。

キーボード ショートカット

ツール、メニュー項目、カラーのショートカットを自由に割り当て直せます。コマンドを名前で検索して新しいショートカットを 割り当てたり、既存のショートカットを変更したりできます。競合は赤で表示されるため、うっかり重複させてしまう心配は ありません。別のレイアウトで長年培った操作の癖がある場合は、すべてをそれに合わせて割り当て直すこともできます。

ショートカットのプロファイルを書き出したり読み込んだりすることもできます。複数のマシンで作業する場合や、設定を チームメイトと共有したい場合に便利です。

PSD

Fog Panther がレイヤー付き PSD ファイルをどう書き込むかを制御する、PSD 互換性のオプションです。レイヤーの名前付け、 保存時のラスタライズの動作、PSD に直接対応するものがない効果をどう保持するかを設定します。通常は初期設定のままで 問題ありません。特定の種類の PSD を前提とするワークフローにファイルを渡す場合にのみ変更してください。

文字

フォント レンダリングの設定です。サブピクセルの並び順 (RGB、BGR、なし) とヒンティングの強さを指定します。お使いの ディスプレイで文字の縁に色がにじんだり、シャープすぎたりするように見える場合は、ここで調整します。

ページの先頭へ

よく使うワークフロー

ここまでのセクションでは、個々の機能を詳しく説明しました。ここではそれらを組み合わせて、実際の作業を最初から最後まで どう進めるかを示す、通しのチュートリアルを紹介します。各ワークフローには関連するリファレンス セクションへのリンクが 付いているので、どのステップについても詳しく調べられます。

ポートレートのレタッチ: 最初から仕上げまで

このチュートリアルでは、全工程で非破壊の手法を使い、カメラの RAW ファイルのポートレートを、印刷にも使える洗練された 仕上がりにします。

  1. RAW ファイルを開き、基本のトーンを設定します。 Ctrl+O でポートレートを開きます。Fog Panther の RAW 現像機能では、画像がカンバスに表示される前に、 露光量、ホワイト バランス、ハイライトの復元を調整できます。基本の状態に納得したら、ファイルが 1 枚のレイヤーとして 開きます。フィルター > 色調補正 > レベル補正 で黒点と白点を設定し、続いて トーンカーブでゆるやかな S 字カーブを描いてコントラストを加えます (フィルターと色調補正を参照)。
  2. 修復ブラシでシミやニキビを修復します。 J を押して修復ブラシを選択します。Ctrl+1 で 100% に拡大し、きれいな肌の部分を Alt+click してソースを設定します。シミ、傷跡、ほつれた髪の上をペイントします。修復ブラシはテクスチャー、 明るさ、色を自動的に合わせます (ツールを参照)。
  3. 周波数分離で肌をなめらかにします。 背景レイヤーを 2 回複製します (Ctrl+J を 2 回)。下のコピーに「低周波」、上のコピーに「高周波」と名前を 付けます。低周波レイヤーに フィルター > ぼかし > ぼかし(ガウス) を半径 4–8 px (肌の テクスチャーがなめらかになる程度) で適用します。高周波レイヤーの描画モードをリニア ライトに設定し、 イメージ > 画像操作 を開いて低周波レイヤーを選択し、描画モードを減算、拡大縮小を 2、オフセットを 128 に設定します。これで、柔らかいブラシで低周波レイヤーにペイントすれば、毛穴のディテールを失わずに肌のトーンを 均一にできます (レイヤーとフィルターと色調補正を参照)。
  4. 非破壊で覆い焼きと焼き込みを行います。 新規レイヤーを作成し、50% グレーで塗りつぶして (編集 > 塗りつぶし > 50% グレー)、描画モードをソフト ライトに設定します。不透明度 5–10% の柔らかい白の ブラシでペイントしてハイライトを明るくし (覆い焼き)、柔らかい黒のブラシでシャドウを深めます (焼き込み)。 元のピクセルに触れることなく、光で顔の立体感を形作れます (レイヤーを参照)。
  5. トーンカーブでカラー グレーディングを行います。 レイヤー パネルからトーンカーブ調整レイヤーを追加します。人気のティール&オレンジのルックにするには、 ブルー チャンネルでシャドウを持ち上げ (シャドウに青/ティールを加える)、ブルー チャンネルでハイライトを下げます (ハイライトを黄/オレンジ寄りにする)。好みに応じてレッドとグリーンのチャンネルも微調整します (フィルターと色調補正を参照)。
  6. 出力用にシャープにします。 Ctrl+Alt+Shift+E で、表示されているすべてのレイヤーを統合した新規レイヤーを作成します。 フィルター > その他 > ハイパス を半径 1–2 px で適用し、レイヤーの描画モードを オーバーレイに設定します。ハローを生じさせずに、エッジをくっきりとシャープにできます (フィルターと色調補正を参照)。
  7. 書き出します。 Web 用には ファイル > 別名で書き出し を使い、長辺 2048 px にリサイズして品質 80% の JPEG を 選びます。印刷用には、カラー プロファイルを埋め込んだフル解像度の 16 ビット TIFF を書き出します (ファイル形式とカラー マネジメントを参照)。

印刷用データの準備

このチュートリアルでは、適切な余白、カラー マネジメント、書き出し設定を備えた印刷用のドキュメントを一から作成する 方法を説明します。

  1. 正しいサイズで新規ドキュメントを作成します。 Ctrl+N を押して印刷用のプリセット (A3 など) を選ぶか、カスタムのサイズを入力します。解像度を 300 DPI に設定し、カラー モードを目的の色空間 (ほとんどのデジタル印刷では sRGB、印刷会社が求める 場合は CMYK) に設定します。背景は白を選びます (はじめにを参照)。
  2. 余白、塗り足し、セーフ エリアのガイドを設定します。 表示 > 新規ガイド レイアウト を開き、各辺から印刷会社の指定する塗り足し幅 (通常は 3 mm) の位置に ガイドを追加します。さらに、重要な内容をすべて収めるべきセーフ エリアとして、10–15 mm 内側に 2 組目の ガイドを追加します。これらのガイドは印刷されず、断裁時に何も切れてしまわないようにするためのものです (表示とナビゲーションを参照)。
  3. レイヤーと文字でデザインします。 背景、画像、文字をそれぞれ別のレイヤーに分けて構成を組み立てます。ライブ テキストには文字ツール (T) を 使います。ラスタライズせずに、いつでもフォント、サイズ、カラーを変更できます。全体の色補正には調整レイヤーを 追加し、非破壊で微調整できるようにします (レイヤーと 文字とタイポグラフィーを参照)。
  4. ICC カラー プロファイルを指定し、ソフト校正を行います。 イメージ > カラー プロファイル > プロファイルの指定 を開き、印刷会社から提供された ICC プロファイル (ヨーロッパのコート紙なら Fogra39 など) を選択します。次に 表示 > ソフト校正 でソフト校正を有効にし、最終的な印刷物の見え方を画面上でシミュレートします (カラー マネジメントを参照)。
  5. 色域外の色を確認します。 ソフト校正中に 表示 > 色域外警告 を有効にします。グレーで強調表示された部分には、プリンターで 再現できる範囲を超えた色が含まれています。警告が消えるまで、その部分の彩度を少し下げたり色相をずらしたりして 調整します (カラー マネジメントを参照)。
  6. プロファイルを埋め込んだ 16 ビット TIFF を書き出します。 ファイル > 別名で書き出し を開いて TIFF を選び、ビット深度を 16 ビットに設定して、 「ICC プロファイルを埋め込む」にチェックが入っていることを確認します。これにより色の忠実度が最大限に保たれ、 印刷会社が正確な色を再現するのに必要なプロファイルも渡せます (ファイル形式を参照)。
  7. マスター ファイルを保存します。 Ctrl+S を押して、作業中のドキュメントを .fog ファイルとして保存します。すべてのレイヤー、 マスク、調整レイヤー、文字が編集可能なオブジェクトとして保持されるため、あとで戻って変更を加えられます (ファイル形式を参照)。

EC サイト向けの商品の切り抜き

このチュートリアルでは、商品を背景から切り離し、透明背景と白背景の 2 種類のバリエーションでオンライン ストアの 商品ページ用に書き出す方法を紹介します。

  1. 商品写真を開きます。 Ctrl+O を押して商品の写真を開きます。最もきれいに仕上げるには、無地の背景で明るく撮影した写真から 始めてください。
  2. 自動選択ツールで背景を選択します。 W を押して自動選択ツールを選びます。背景部分をクリックすると、似た色の隣接する領域が選択されます。 背景にわずかな色のムラがある場合は、Shift を押しながら選択されていない部分をクリックして選択範囲に 追加します。背景全体が選択されるまで、オプション バーで許容値 (20–40 を目安) を調整します (選択範囲を参照)。
  3. 選択範囲を反転して商品を選択します。 Ctrl+Shift+I を押して反転します。これで背景ではなく商品そのものが選択されます (選択範囲を参照)。
  4. エッジにぼかしをかけて自然になじませます。 Shift+F6 を押してぼかしダイアログを開きます。半径に 1–2 px を入力します。エッジをぼやけさせずに、 切り貼りしたような硬い印象を避けられる程度に選択範囲のエッジが柔らかくなります (選択範囲を参照)。
  5. 商品を新規レイヤーにコピーします。 Ctrl+J を押して選択範囲を新規レイヤーにコピーします。これで、透明な背景の上に商品だけが載った独立した レイヤーができます。元の背景レイヤーは非表示にするか削除します (レイヤーを参照)。
  6. クイック マスク モードでエッジを整えます。 Q を押してクイック マスク モードに入ります。マスクは赤いオーバーレイとして表示され、赤い部分が選択範囲の 外側、透明な部分が内側です。小さく柔らかいブラシで、含まれてしまった背景の縁を赤で塗りつぶすか、切れてしまった 商品のエッジを白でペイントして復元します。もう一度 Q を押すとクイック マスクが終了し、選択範囲に 戻ります (選択範囲とツールを参照)。
  7. すっきりした背景を追加します。 透明背景にする場合は、これで完了です。商品は背後に何もない独立したレイヤーに載っています。白背景にする場合は、 商品の下に新規レイヤーを作成し、白で塗りつぶします (編集 > 塗りつぶし > 白)。
  8. 商品ページ用に書き出します。 透明背景に対応した商品ページ向けには、ファイル > 別名で書き出し を使って PNG を選びます。 白背景が必須のマーケットプレイス向けには、透明のレイヤーを非表示にして白背景のレイヤーを表示し、品質 90% の JPEG として書き出します。多くのストアでは特定のサイズ (2000×2000 px など) が求められます。書き出す前に イメージ > カンバス サイズ で画像の周囲に余白を足して正方形にしてください (ファイル形式を参照)。

チャンネルを使った被写体の切り抜き (髪の毛、動物の毛、細かいエッジ)

自動選択系のツールは、くっきりした硬いエッジにはうまく機能しますが、ふわふわした髪の毛、動物の毛、空を背景にした 木の枝など、半透明で不規則な境界を持つものは苦手です。チャンネルを使った選択の手法では、画像のカラー チャンネルに もともと存在するコントラストを利用して、細部まで捉えた精密なマスクを作成します。

ほかのツールではできないことがチャンネルでできる理由

すべての画像は、レッド、グリーン、ブルーのチャンネルでできています。各チャンネルは、ピクセルごとにその色がどれだけ 含まれているかをグレースケールで表したもので、明るい部分ほどその色が多く、暗い部分ほど少なくなっています。多くの 写真では、いずれかのチャンネルで被写体と背景の間にすでに強いコントラストが現れています。そのチャンネルを複製して 純粋な黒と白に近づければ、髪の毛 1 本 1 本やひげの 1 本 1 本までなぞる、すぐに使える選択用のマスクができあがります。

よくある課題

  • 色のにじみ (フリンジ) — 元の背景の色が細いエッジにまとわりついて残ってしまう現象です。被写体を新しい背景に配置したときに特に目立ちます。
  • 半透明の部分 — 完全には不透明でない、ほつれた髪や透けた毛です。無理に不透明にせず、部分的な透明として保持する必要があります。
  • 中間調のエッジ — すべてのチャンネルで被写体と背景の明るさが近い部分です。ディテールを損なわずに純粋な黒や白に近づけるのが難しくなります。
  • エッジの「焼け」 — チャンネルにレベル補正やトーンカーブを強くかけすぎると、繊細な中間調の移り変わりが飛んでしまい、硬くギザギザしたエッジになります。

手順

  1. 画像を開き、各チャンネルを確認します。 Ctrl+O で写真を開きます。ウィンドウ > チャンネル からチャンネル パネルを開きます。 レッド、グリーン、ブルーのチャンネルを 1 つずつクリックします。それぞれがグレースケール画像として表示されます。 被写体が最も暗く、背景が最も明るい (またはその逆の) チャンネルを探してください。コントラストが最大のものが 最適です。明るい背景の前で髪の毛が写ったポートレートでは、多くの場合ブルー チャンネルが最適です。肌や髪には 青い光がほとんど含まれないため、明るい空やスタジオ背景に対して暗く写るからです。
  2. 最適なチャンネルを複製します。 最もコントラストの強いチャンネルを右クリックしてチャンネルを複製を選びます (またはパネル下部の 新規チャンネル ボタンにドラッグします)。画像の色に影響を与えずに自由に編集できる、アルファ チャンネルのコピーが 作成されます (カラー マネジメントを参照)。
  3. レベル補正でコントラストを強めます。 複製したチャンネルを選択した状態で、レベル補正 (Ctrl+L) を開きます。黒点のスライダーを右にドラッグして 暗部を深め、白点のスライダーを左にドラッグして明部を飛ばします。被写体を純粋な黒に、背景を純粋な白に (または その逆に) 近づけるのが目標です。少しずつ進めてください。一度にスライダーを動かしすぎると、髪の毛が背景に 溶け込む繊細なエッジが焼けてしまいます。強い調整を 1 回行うより、適度な調整を 2–3 回に分けて行いましょう (フィルターと色調補正を参照)。
  4. 覆い焼きと焼き込みで調整します。 覆い焼き/焼き込みツール (O) を選択し、モードを焼き込み、範囲を シャドウ、露光量を 30–60% 程度に設定して、まだグレーのままの背景部分をペイントし、黒に 近づけます。次にモードを覆い焼きに切り替え、範囲をハイライトに設定して、被写体の 内側をペイントし、白に近づけます。シャドウ/ハイライトの範囲で作業することで、中間調のエッジが損なわれるのを防げます (ツールを参照)。
  5. 硬いブラシで内側をべた塗りします。 ブラシ ツール (B) に切り替えます。硬い白のブラシで、被写体の明らかに内側の部分 (胴体、顔、べた塗りの 領域) を純粋な白に塗ります。硬い黒のブラシで、明らかに背景の部分を純粋な黒に塗ります。細いエッジには近づかず、 チャンネル本来の階調の移り変わりに任せてください。この手順はすばやく行え、覆い焼き/焼き込みでは時間がかかり すぎる広い範囲をきれいに整えられます。
  6. 難しいエッジにはオーバーレイのブラシを使います。 オプション バーでブラシ ツールの描画モードをオーバーレイに設定します。オーバーレイ モードでは、 白でペイントすると 50% グレーより明るいピクセルだけに、黒でペイントすると 50% グレーより暗いピクセルだけに作用し、 中間調は保護されます。そのため、細い半透明の毛を壊す心配をせずに、髪の近くを思い切ってペイントできます。被写体側の エッジは白で、背景側のエッジは黒でペイントします (ツールを参照)。
  7. チャンネルを選択範囲として読み込みます。 Ctrl を押しながら、チャンネル パネルで調整したチャンネルのサムネールをクリックします。白い部分が選択範囲 (破線) として読み込まれます。チャンネル上で被写体が白なら、選択範囲はすでに被写体を対象にしています。被写体が黒の 場合は、Ctrl+Shift+I で選択範囲を反転します (選択範囲を参照)。
  8. レイヤー マスクとして適用します。 レイヤー パネルに戻ります。パネル下部のレイヤー マスクを追加ボタンをクリックします。選択範囲が マスクになり、被写体は表示されたまま背景が消えます。髪や毛のエッジは部分的な透明によって自然にフェードします (レイヤーを参照)。
  9. 色のにじみを取り除きます。 被写体の背後に単色のレイヤーを置き、コントラストのある背景に対してエッジを確認します。髪の周りに元の背景色の ハローが見える場合は、被写体の上に新規レイヤーを作成して描画モードをカラーに設定し、スポイト (I) で被写体本来の髪や毛の色をサンプリングして、にじみの上をペイントします。描画モードのカラーは 色相と彩度だけを置き換え、輝度はそのまま保つため、にじみは透明度を失わずに正しい色になります (レイヤーを参照)。
  10. 最終的な仕上げと書き出しを行います。 200% に拡大してエッジを点検します。レイヤー マスク上で小さく柔らかいブラシを使い、残ったノイズを黒で塗りつぶすか、 失われたディテールを白で復元します。満足のいく状態になったら、必要に応じて統合または書き出しを行います。透明部分を 残すなら PNG、被写体を新しい背景に配置するなら JPEG で書き出します (ファイル形式を参照)。

うまく仕上げるためのヒント

  • 複数のチャンネルを試しましょう。2 つのチャンネルを組み合わせる (ブルーを複製してから、画像操作でグリーン チャンネルをブレンドするなど) と、単一のチャンネルよりもうまく分離できることがあります。
  • レベル補正の代わりにトーンカーブを使いましょう。どの階調範囲を強調するかをより正確に制御できます。中間調を固定したまま、シャドウを大きく暗くしたりハイライトを大きく明るくしたりできます。
  • いくつかの背景で確認しましょう。マスクした被写体の背後の背景を白、黒、色付きと切り替えてみてください。ある色では見えなかったにじみやノイズが、別の色では現れることがよくあります。
  • 透明な部分を無理に不透明にしないでください。髪や毛のエッジはもともと半透明です。すべてを純粋な黒や白にするのではなく、マスクにそのグレーの値を残しておきましょう。
ページの先頭へ